風水

『風水』基本編

はじめに

風水は、中国の古代から続く伝統的な環境学です。その起源は、紀元前の時代にまで遡ります。風水の基本的な考え方は、自然環境と人間の生活空間が調和していることで、健康、富、幸福をもたらすというものです。これは、「風」と「水」の二つの要素に象徴されています。風水は、地形、方向、時間、そして空間のエネルギーの流れを重視し、これらの要素を最適に配置することで、良い気(チー)の流れを促進し、悪い気の流れを避けることを目指します。

起源について

起源については、風水はもともとは墓地の位置を選定するための方法として発展したと言われています。古代の中国では、先祖の墓地の位置が家族の運命に大きな影響を与えると信じられていました。そのため、風水師は、先祖が安らかに眠れるように、また家族に良い運をもたらすように、墓地の位置を選びました。時間が経つにつれて、風水の原則は住宅、公共の建物、さらには都市計画にまで応用されるようになりました。

風水の実践は、道教の影響を受けており、その理論は易経(変化の書)にも部分的に基づいています。易経は、宇宙の原理と変化の法則を説明する古代中国のテキストです。風水は、このテキストの理論を利用して、環境との調和を図る方法を提供します。

今日でも、風水は多くのアジアの国々、特に中国、台湾、香港、シンガポールなどで広く実践されています。また、西洋でも関心が高まっており、住宅の設計、インテリアの配置、ビジネスの立地選定など、さまざまな分野で応用されています。

陰陽五行説

風水における陰陽五行説は、その核心的な考え方の一つであり、風水の実践と理解において不可欠な要素です。この理論は、自然界と人間界の相互作用を説明し、調和とバランスを達成する方法を提供するはずです。

陰陽

陰陽は、相反するが相補的な力の存在を表します。陰は静けさ、暗さ、受動性を象徴し、陽は活動性、明るさ、積極性を象徴します。風水においては、陰陽のバランスが重要であり、これらの要素が適切に組み合わされることで、良好な気の流れと環境の調和が生まれるとされます。例えば、明るく活動的な空間(陽)と、静かで落ち着いた空間(陰)を適切に配置することで、家やオフィスの環境バランスを整えることができます。

五行

五行説は、木、火、土、金、水の五つの要素がすべての物事の基本的な構成要素であるという考え方です。これらの要素は、相生と相剋(相克)の関係にあります。相生は、一つの要素が次の要素を生み出す支援的な関係(例:木は火を生み、火は土を生む)、相剋は一つの要素が別の要素を制御または克服する関係(例:水は火を克服し、火は金を克服する)を指します。

風水において、五行の要素をバランス良く配置することで、環境のエネルギーを調和させ、好ましい結果を促進することができます。たとえば、ある空間に金の要素(金属製の装飾品など)が多すぎる場合、木の要素(植物など)を加えることでバランスを取ることが推奨されます。

陰陽五行説について

風水には、陰陽五行説という考え方があります。「あらゆる物事には『陰・陽』の2つの側面があり、5つの気の性質に分けられている」というものです。偏ることなく、バランスを保つことの方が良いという考え方です。

  • 空間の陰陽バランス:空間が過度に活動的(陽過多)または過度に静か(陰過多)でないようにします。
  • 五行の要素のバランス:空間内の五行の要素が相生と相剋の関係に基づいて適切にバランスされていることを確認します。
  • 色彩の使用:色は五行の要素と密接に関連しています(例:緑は木、赤は火)。空間における色の選択を通じて、五行のバランスを調整します。
  • 材料と形状の選択:物質的な要素(家具、装飾品、建築材料など)も五行に対応しています。これらの要素の選択によって、特定のエネルギーを強化または和らげることができます。

私たちの身体のバランスについて考えてみましょう。
◎栄養の良い肉や野菜の多い食事を摂る ⇒ 健康になる(バランスが良いから)
◎ジャンクフードばかり食べて野菜を食べない食事をしている ⇒ 体調を崩したり肥満のリスクもある(バランスが悪いから)
食事は、人の身体を健康にしてくれるものです。ダイエットをしたいと云って食事しなかったり、制限をしたりとバランスを崩してしまうから、逆にリバウンドして太ってしまいます。焦らずゆっくりと日々の積み重ねでバランスを保つことが一番の近道です。

「風水」を側面から考える

風水は占いではない

風水は占いではありません。陰陽五行説を理解し、それを風水の実践に適用することで、より調和のとれた生活環境を作り出すことを目指さなければなりません。これは、単に物理的な環境を整えるだけでなく、健康、幸福、そして繁栄に対しても積極的な影響を及ぼすものと考えられています。自然界から出るパワーを貰いそれを活用して、心身共に体質改善をしていけばおのずと幸運が訪れてくれるかもしれません。

風水を取り入れたからといって、直ぐに運が良くなるわけではありません。「風水は直ぐに開運する」そう思っている人が多いとおもいますが、それは違うことだと改めてください。それまでに積み重ねられた悪い習慣が長ければ長いほど、変わるのには時間がかかるものです。何をどのように取り入れて行けば良いのか分からないと思います。これから詳しく説明していきますので大丈夫です。やってはダメなことをしっかりと覚えていきましょう。良くなるにもコツコツと地道な努力が必要なのです。最低でも3か月は続けて欲しいと思います。

風水は自然界と人間の相互作用

風水は、その本質上、自然環境と人間が作り出した環境の相互作用に基づいていると考えられています。伝統的には経験則、直感、そして文化的伝承に強く依存しているでしょう。

風水を統計学の観点から評価すると、統計学はデータに基づく証拠と厳密な分析を重視します。統計学を用いて風水の効果を評価するには、具体的な測定可能な指標を設定し、風水の原則に従って設計された環境とそうでない環境との間でこれらの指標に基づいて比較分析を行う必要があります。たとえば、風水の原則に基づいて配置されたオフィスの従業員の生産性や、風水に基づいて設計された住宅の住人の幸福度などが考えられます。

統計的分析を行う際の主な課題の一つは、多数の潜在的な干渉因子を適切に制御することです。例えば、経済状況、社会的環境、個人の性格など、生産性や幸福度に影響を与える可能性のある他の要因を考慮する必要があります。これらの要因を適切に制御することで、風水の原則がこれらの指標に実際にどの程度影響を与えているかをより正確に評価されなければなりません。

実際には、風水に関する統計的研究は限られており、その結果も様々です。一部の研究では、風水の原則がポジティブな影響を与えることを示唆していますが、他の研究では有意な結果が得られないこともあります。これは、風水の効果が非常に微妙で、測定が難しいか、または他の多くの変数によって影響が覆い隠されている可能性があることを示唆しています。

統計学としての風水の評価は、伝統的な知恵と現代科学の間の対話を促進する有望な道です。しかし、この分野での研究はまだ初期段階にあり、より多くの厳密な研究が必要でしょう。

『気』を取り入れる

風水では、『』が重要と考えれています。

風水の「気」とは、中国の伝統的な哲学において、宇宙のエネルギーまたは生命力を指します。この概念は、風水学の基本となるもので、環境と人間との間のエネルギーの流れや相互作用を説明するために使用されます。気は、物質的なものと非物質的なものの両方に存在し、人々の健康、幸福、そして運命に影響を及ぼすとされています。

風水の実践では、『「気」は目に見えないもの 』として扱われますが、その影響は具体的な結果として現れると考えられています。たとえば、家の入り口や窓から入る「気」の流れを良くすることで、家庭内の調和や住む人々の健康を促進することができるとされています。また、風水では、自然環境や地理的な要素も「気」の流れに大きく影響すると考えられており、山や川の位置なども考慮に入れられます。風水的に理想とされる土地を選んで街づくりをしたと言われる例は数多く存在しています。有名なものでは、東京の現在は皇居、江戸城は風水を綿密に計算して造られたという話しは有名です。近代においては、シンガポールの街づくりも風水を活用しているといわれています。

風水においては、気の流れを調和させ、良い気を引き寄せ悪い気を遠ざけることが、住まいや職場などの環境を整える上で重要視されます。この気のバランスを整えることによって、より良い人生を送るためのサポートが得られるとされています。気の流れを良くする方法には、家具の配置、建物の方向、水の流れ、植物の配置など、多岐にわたっています。

『陽の気』『陰の気』

風水では、『気』を「陽の気(良い気)」と「陰の気(悪い気)」と2通りに考えています。目に見えない捉えどころのない「気」ですが、そこにどちらの「気」で呼ぶことで良し悪しを判断しています。

人は、「気持ちがいい」・「気持ちが悪い」とその時の健康状態に応じて口にしていると思います。人間の身体の中に「気」が宿っているからです。その人がもっている「気」によって、「良い気」で晴れ晴れするように思えたり、「悪い気」なのか居心地が悪く思えたり、ということを感じてことはないでしょうか。

「良い気」にはプラスのパワーであり、「悪い気」にはマイナスのパワーです。「気」の作用で、運気はまったく変わってきてしまいます。人間は「悪い気」の中に首まで浸かっていると気づかないものです。「良い気」を体内に呼び込み、「良い気」の体質に変わっていけば、その人は前向きになり、希望を持ち、将来が明るくなるはずです。「良い気」を取り込めばその人が出す「気」も変わってきます。「気」が変われば雰囲気も変わりるはずです。まわりの反応も変わるなずです。置かれている立場も変わってくるでしょう。

『気』は、雰囲気を捉えるのがコツとなります。雰囲気という言葉にも「気」という文字が入っています。感じた雰囲気を、単なる「気のせい」とやり過ごすのではなく、風水は「気」は「あらゆる物事に影響を与えている」として考えています。『気』を超えるコツを掴みましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

『陰陽五行説』については、別で詳しく説明しています。こちらも合わせてご覧ください。

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